米国道路安全保険協会 (Insurance Institute for Highway Safety, IIHS) が創立50周年を記念して、シボレーの1959年モデルと2009年モデルを正面衝突させた実験を行っており、そのビデオがシボレー関連のニュースを集めたサイトで見られます。
Vehicle Safety Has Come A Long Way In 50 Years
http://www.chevroletinthenews.com/vehicle-safety-has-come-a-long-way-in-50-years/
自動車の安全性は、当局の規制や保険会社からの評価、メーカー側の自主的な努力などにより、新モデルのリリースごとに高まっていますが、このビデオを見ることで、過去半世紀の安全性の向上が顕著に見られます。すなわち、マリブの2009年モデルの方は、ボンネット部分を中心に車の前方部にダメージが集中していますが、1959年モデルの方は、車全体としてダメージを受けており、車体の変形が後部座席にまで及んでいます。また、中に座っていたマネキンは2009年モデルの方はエアバッグによって守られていて、膝の辺りをちょっとぶつけたくらいですんでいますが、1959年モデルに乗っていたマネキンの方は、車体の変形をもろに受け、人間だったら即死の状態になっています。
これはアメ車の話ではありますが、日本車でもこのような安全性の向上は見られています。かつては1万人以上を越えていた交通事故死亡者の数が、現在では5千人を切るようになってきています。飲酒運転に対する意識の向上、シートベルト着用率の上昇、救急医療体制の充実等による寄与もあるでしょうが、自動車自体の安全性の向上も大きな要素になっているのではないでしょうか。実際に今街を走っている車を見ると、かつては多く見られたハードトップと呼ばれるドアの枠のない車が現在ほとんど見られなくなりました。

自動車業界では、このように目覚ましい安全性向上が見られているのに対して、同様の安全性向上の努力が原子力業界で見られたかというと、残念ながら3月11日の震災以降に、そうはならなかったということが明らかになりました。原発の場合、人々が反対しようが賛成しようが、今までの発電のために使われてきた使用済み核燃料はとにかく残り続けるわけで、今回の震災でも、使用済み核燃料を「一時的に」建屋の中のプールに溜め込んでいたために、甚大な被害が出てしまっています。今後のエネルギー政策を論じるとともに、使用済み核燃料をどうやって安全に数万年もの間冷却して保管し続けるかをも考えなければなりません。自動車の安全性と原発とりわけ使用済み核燃料の安全性を同列に扱うことは無理があるかもしれませんが、自動車の安全性向上をもたらした技術革新やノウハウの伝授、組織の管理体制、国と民間企業の関係などは参考になるのではないかと思います。




