インデペンデンス・デイや、GODZILLA ゴジラ
でおなじみのローランド・エメリッヒの最新作、2012 を見てきた。端的にいえば、お金をかけた B 級映画をまた見てしまったという感想である。まだ見てない人で、これから見ようという人は以下の感想文を読まない方がいいかもしれない。
とにかく最初からめちゃくちゃだった。物理学者役の人が、「初めてニュートリノが物理反応を見せた」と発言した瞬間に、「ああ!この映画もうだめだ」と思ってしまった。1998年に既に日本の神岡鉱山跡地にあるスーパーカミオカンデで、ニュートリノ振動という物理現象に関する観測結果が発表されているわけだが、この映画の制作者はそれを無視していることがこれでわかってしまう。しかも、太陽から発せられたニュートリノが引き金となり、地殻変動を起こし、さらには地球の極を入れ替えてしまうなどということは考えられない。実際に、既に日本国内で強度のニュートリノビームをつくり、スーパーカミオカンデに向けて放出し、ニュートリノ振動を見るという実験が行われており、解析が進められつつあり、次期実験も計画されている。その間に茨城県と岐阜県の間で地殻変動が起きたなどという話は全くない。こうした実験をことごとく無視して、物理学者役の人に冒頭のようなことを言わせるのは、子供の教育上非常によくないと思い、嫌な予感がした。
すると今度は、世界の危機に向けて、G8 の首脳が集まるというシーンが出てきた。残念ながらこれも時代が進んでしまって嘘くさくなってしまった。現在では、G7 とか、G8 とかの枠組みは終焉しており、今年9月からは、G20 の時代となっている。そもそも地球の危機を前もって知らせるのに、G8 などのような、限られた国の首脳を集めるということはあり得ず、もっとオープンに行われるか、もっと閉鎖的になされるかのどちらかだろう。ここでさらにこの映画の行く末が案じられてしまった。
サンタモニカや、ロサンゼルスダウンタウンなど、なじみぶかい町が崩壊していく CG は圧巻であり、これを映画館の大スクリーンで見れたのは非常によかった。ただ、この映画の見所はそれだけと言ってもいいというくらいで、脚本はそもそもの話の出だしがでたらめな上、主人公はこれでもかというくらいのピンチにことごとく助かり、最後はいかにもハリウッド映画らしいわざとらしいハッピーエンドになるという点で、お金がかかっている割には安っぽい映画に見えてしまった。まあ、最近はそういう安っぽさに突っ込みをいれるのも楽しみになってきているのではあるが。ただ、そういう突っ込みができず、信じてしまう純粋な心を持った子供には見せたくない映画である。



