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  • 藤子F先生が亡くなられたときの喪失感に似た、スティーブ・ジョブズの死去

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    今まで直接会ったことのない人の死で、一番衝撃的でそのあと何日間もその衝撃が心にいつまでも残っていたのは、藤子F先生でした。幼稚園のころから楽しみにしていた、ドラえもんのポケットから次に何が出てくるかという期待が、もうこれ以上できなくなったと思うと、本当に悲しくなって、大学院生だった当時、ふと先生が亡くなったということを思い返しては泣きそうになってしまう日々が何日か続きました。

    別にアップルの熱狂的な信者だったわけではありませんが、日常生活において、アップル製品を使わない日はもはやなくなってしまった今、スティーブ・ジョブズが亡くなったという事実は、自分の中で藤子F先生が亡くなった時と同様な衝撃で、心のどこかに何か空白ができたような思いがします。

    藤子F先生が亡くなってから、ドラえもんのポケットから新しい道具が出ることはなくなってしまいましたが、スティーブ・ジョブズが亡くなってもアップルは今後新製品を出し続けるはずです。ただ、スティーブ・ジョブズという総監督が亡くなった今、アップルから出される作品は今後どうなってしまうのだろうかという疑問はやはり抱かざるを得ません。

    ドラえもんの道具といえば、小学四年生ののび太が説明書などなくても簡単に扱える夢のようなハイテク機器なわけですが、世界中でアップルがもっともそれに近い製品を出し続けてきて、しかもそれが iPhone や iPad でますます洗練されてきていたと思います。そんな製品開発を率いてきたトップの死というのは、自分の中でドラえもんの生みの親が亡くなった時の喪失感と極めて近いものに感じられます。

    出張で滞在中のフランスでもニュースで大きく取り上げられていました。昨日行われた次期大統領選のための各候補による討議という大きなニュースがあったにもかかわらず、この報道を抑えて、スティーブ・ジョブズ死去のニュースがトップで扱われ、5分以上にわたって報道が続いていました。


    また、フランス版の Google でも、スティーブ・ジョブズの死を扱うページに飛ぶリンクがついています。


    ニューヨーク・タイムズの Google ガジェットも、一時期この話題で埋め尽くされました。


    以前、スティーブ・ジョブズ自身が、壇上に現れて、自分の死のうわさを冗談半分に否定したことがありましたが、今回もそうであってほしいと心のどこかでおもってしまっています。

  • 1Q84

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    村上春樹氏による、1Q84を3冊読み終えました。読んでいる間にいろいろと思うところがあったので、つらつらと書いてみたいと思います。

    物語の所々に、1984年に起きた出来事が紹介されていますが、一方でこの本ならではの事象も出てきます。村上春樹氏は実際の出来事も架空の出来事もどちらも詳細な描写で、巧みに記述しているので、読んでいるうちに現実とフィクションとの境界がいつのまにかおぼろげになっていきます。そうしていつの間にか、主人公と読者が、この小説で特徴的な、月が二つ出ている世界に入り込んでいきますが、他の全ての記述はあたかも事実を語るかのごとく、きわめて精巧な描写がなされているので、現実と架空の差がわずかしか感じられない、少し不思議な感覚にみまわれます。そういう意味では、藤子F先生の SF (少し不思議) の世界に通じるところがあります。すなわち、日常生活からちょっと変わった、少し不思議な世界が、マンガと小説という違いはあるにせよ、どちらも共通した世界感を描いていると感じられます。

    と思っていたら、著者が実際にそのことを語っておられます。

    米同時テロ動機に「1Q84」執筆…村上春樹氏
    http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20100824-OYT1T00135.htm

    特に、氏が述べられている

    平凡な主人公が非日常的な出来事に巻き込まれる物語が多い

    という部分は、まさに藤子F先生の描く世界と共通するところで、平凡な主人公の日常に、ネコ型ロボットが突然やってきたり、オバケが現れたり、エスパーを駆使する人が現れたりしています。そんなことからか、今回始めて村上春樹氏の作品を読んだのですが、違和感なくすんなりと読めました。

    また、この作品の中で、自分にとってなじみの深い地名が出てきたことで、ますます親近感が沸いてきました。世田谷で生まれ、市川市の公立小学校に4年生まで通っていて、祖母が一時期高円寺に住んでいて、よく訪れたこともあり、描かれる世界に親しみがわきました。

    さて、自分自身の過ごした1984年と言えば、ちょうど洋楽を聴き始めたころであり またロサンゼルスオリンピックが行われた年ということもあり、アメリカを強烈に意識した年でした。強いアメリカの復活を訴えたレーガン大統領が再選したのもこの年ですし、スペースシャトルの打ち上げが順調に行われていたのもこのころでした。小学生から中学生に上がり、英語が授業で行われるようになったこともあり、FEN を聞き始めたのもこの頃からでした。

    1984年当時よく聞いた曲がなつかしくなり、この本を読んでいる間によく BGM として聞きました。以下アルバムを並べておきます。

    1984 – Van Halen
    Overnight Success – Teri DeSario with Joey Carbone & Richie Zito
    Chicago 17 – Chicago
    Colour By Numbers – Culture Club
    Caught in the Act (Live) – Styx
    99 Luftballons – Nena