
先日、コンビニに行って、コピーを取ろうと思ったら、上のような操作パネルだったので、一瞬どうすればよいか迷った。
ちょっと考えてから、「白黒」のラベルの左上のボタンを押せばよいことがわかったが、その発見に至るまで数秒間しばらく考え込んでしまった。
最初、赤っぽい丸ボタンを押せばよいのかと思った。なぜなら、こういう機械はたいてい一番主要な操作が一番目立つ赤系統のボタンで示されているからである。しかし、ここには「ストップ」とラベルがしてある。また、主要なボタンにしては何となく大きさが小さく、控えめである。
次に、もうちょっと大きなボタンを隣に見つけた。しかし二つとも同じ大きさであり、くちばしを90度回転したみたいな同じマークがついている。違うのは色ラベルの数とボタンそのものの色である。これらだけでは何のことかよくわからない。さらに視野を広げると、それぞれのボタンの隣に「カラー」および「白黒」というラベルがある。しかし、これらだけではやはりいまいち意味が分からない。場合によっては、こうしたボタンを押して、コピーのモードをカラー化白黒に選んだ上で、さらにスタートボタンを押さなければならない可能性があるからだ。
ところが、カラーとも白黒ともどちらともいえない位置に、「スタート」というラベルがしてある。ここから想像すると、カラーボタンまたは白黒ボタンを押すことによって、コピーがスタートできるということになりそうだ。
そこで、その思考を試すべく、白黒ラベルの横のボタンを押すと、思い通りの白黒コピーが取れた。
わかってしまえば、単純なそうさなのだが、いくつかの点で操作をわかりづらくしていると思った。そのために数秒間動作を止めて考えなければならなかった。わかりづらい点を列挙すると、次のようになるだろうか。
- 主要な操作を行うボタンが一番目立つ色になっていない。
- カラーと白黒のコピーを示すボタンがわかりづらい。
- スタートボタンがどれかわかりづらい。
最初の点については、既に触れたように、この色を主操作にあてがうメーカーもあるし、一方停止するときは赤っぽい色の方がよいという意見もあるだろう。ここは業界として統一した方がいいのではないかという気もする。
次の点については、ボタンのデザインそのものが悪いといえるだろう。小さな丸を並べてカラーとか白黒とかを訴えるやり方は、インクジェットプリンターのカートリッジなら良く見かけるが、それ以外の場所ではあまりなじみがない(ひょっとしてこれらの表記の仕方は既に印刷業界などで一般的なのだろうか)。いっそのこと、白黒ボタンは白黒のチェッック、カラーボタンは二次みたいな色で塗ってしまった方がよかったのではないだろうか。
「スタート」を示すやり方もよくない。上述のように、カラーか白黒かをもっとわかりやすくしたボタンの上に「スタート」と書いた方がわかりやすくなるとおもう。この場合、「スタート」のラベルが二カ所に表れてしまうという反論があるかもしれないが、カラー印刷か白黒印刷を選ばせるのだから、二つの選択肢を意識させるという点において、二カ所に「スタート」の表記を示すのはむしろ好ましいことではないだろうか。
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)では、こうしたデザインに関する考察が詳しく述べられている。著者のノーマン氏は本の始めに「アフォーダンス」という概念を導入し、あるデザインがユーザーに対して動作を「アフォード (afford)」、すなわち自然に受け入れられる体制になっているかどうかを、関連性や対応性、視認性、明瞭性、単純さといった点から論じている。
彼の考えをここに当てはめると、このコピー機のボタンが自分の期待と対応していなかったということがいえるし、ラベルの視認性や、ラベルの位置に関しての明瞭性も問題となりそうだ。だが、単純さの点で考えると、カラーと白黒と二つあるモードをどちらか選んでからスタートボタンを押すという二段階のステップを経るのではなく、カラーか白黒のボタンを一回押すだけで、モードを選んだ上、印刷開始ができるようになっているという配慮については評価できる。
おそらく使いやすいコピー機というのは、こうした点に関する配慮がきちんとなされているはずである。これから利用するコピー機について、注目していきたい。と同時に、もしこのブログを複写機や OA 機器一般を設計している人が読んでいたら、是非ノーマン氏の本を読んでいただきたいと思う。非常におすすめの本である。



