外国から帰ってくると、日本のあちこちでのうるささに辟易してしまいます。まず駅に着くと、エスカレーターから声がしてきます。
「エスカレーターにお乗りの際は、黄色い線の内側に立ち…」
というのがエスカレーターの本数分だけ聞こえてきます。今時エスカレーターに初めて乗る人などいないし、いるとしたら初めてお母さんと一緒に外出する子供くらいなので、こういう録音をすることや、その録音を流しっぱなしにするコストを考えると、なくてもいいものの筆頭にあげられると思います。
電車もうるさいです。まず変な音楽がなって、車掌さんか駅員さんが「ドアが閉まります」とか言って、さらにブザーかベルかなにかが鳴って、ようやくドアが閉まるという流れになっていますが、これもうるさいばかりで無駄も多く、大変非効率的だと思います。まず、あの音楽は、確か80年代くらいに、当時はまだ主流だった駅員が笛を鳴らして発車の合図をするというやり方を置き換える目的で導入されたと思うのですが、いつの間にかあの音楽があると、「あ、電車がホームに来ている。急げばまだ乗れる!」という合図に変わっています。そのため、「駆け込み乗車はおやめください」とアナウンスを再三するにも関わらず、駆け込み乗車が絶えない状態となっています。すなわち、あの音楽は、駆け込み乗車を冗長するために使われているとしか思えなくなっています。昔の誰かが笛を吹いて、ドアが閉まるというやり方にすれば、音楽をつくる手間やそれを演奏して、アナウンスして、ブザーかなにかを鳴らしてと言うコストや段取りが一気に省けると思います。
また、町を歩いていても、安売りやお買い得セールをうったえる録音があちこちから聞こえてくるうえ、廃品回収車や物干竿売りの車から流れてくるスピーカー音がかなりうるさいです。さらに、スーパーなどに入るとそこら中から小さなラジカセやら液晶スクリーンやらから、宣伝の音が聞こえてきて、自分が何を買おうとしているのか、何をしようと思っているのか考えるのに邪魔が入るような気分です。
自分が年を取ったからなのか、それとも周囲の音が以前に比べて大きくなっているのか、ちょっと判断がつきませんが、こういう音に侵害される気分がするからか、最近ではあまり盛り場やにぎやかなところに積極的に行かなくなってしまいました。とくに、東京や横浜は残念ながらどこもかしこもにぎやかで、あまり落ち着くことができません。
まあ結局は嫌な音を聞かないように、自分の好みの音を iPhone や iPod で聴くというのが結局落ち着くところになるのかもしれません。
そういう意味で、ミュンヘンやサンフランシスコ、バンクーバー、ニースなど、ここ一年程の間に訪れた町は都市なのだけれども音が静かで、非常に落ち着けます。



