建築家の友人である KN 氏の話を聞く機会があったので、忘れないうちに印象に残っていることを書き留めておきたい。
彼女の勤める会社は80年もの歴史を誇る会社で、アメリカ国内外の数々の建築や都市計画を手がけているそうだ。サンフランシスコやシカゴ市内のそれこそ誰もが知っている有名なビルや、空港のデザイン、およびアメリカ国内の都市計画デザインを行ってきており、そうそうたる実績がある。彼女自身、中国やインドの都市デザインを手がけてきており、成長目覚ましいこれらの国々の躍進ぶりが、こんなところからも伺える気がした。
それこそ何もない土地の上に、住む人や働く人がどうしたら安全に快適に暮らせるかを考え、その土地の地域色を出しつつ、グリーンで地球に優しい都市を、現代の建築技術をつかって構築することをまさにデザインするという彼女の仕事は、シムシティーを実際に現実の世界で行うという感じかと思った。しかし、実際には生の人間が住んで活動する空間を作り出す訳であるから、シムシティーのように勝手気ままに都市づくりをすることはできない。彼女たちがデザインしたモデルを、その計画に出資するお客さんはもちろん、交通量を見積もる人、個々のビルのデザインを考える人、緑地空間を考える人、建築資材を考える人、地元の建築基準法などを確認する人、政府機関と交渉する人、出来上がった都市空間のイラストを描く人、モデルを作る人、工事を請け負う人、その他様々な人々が複雑に絡み合って、今はただだだっ広い畑が広がる土地に21世紀の最新型都市空間を創りだしていく訳である。このような様々な人々と議論し合うときにはどういう風にして話をするのか、すなわちコンピューター上で、バーチャルな空間を作って話をするのか、それともホワイトボードや紙を使って議論をするのかということを聞いてみた。すると、やはり紙ベースが基本で、補助的にコンピューターの画面や実際に作った模型などを使い、必要とあれば紙にコメントを書いていくことで、それがあとあと議事録として残っていくので都合が良いということだった。
こうした仕事が評価されるのは、20年30年経ってからということであるので、大変気の長い話である。そんな仕事を行っている KN 氏が大切にしたいことというのは、やはり子供からお年寄りまでそこにいる人が安全に安心して過ごせる空間を作り出すということだそうだ。
なんといってもすごいと思うのは、KN 氏のような人が手がけた都市デザインが Google Earth を使って見えてしまうことである。残念ながら昨今の景気後退により、彼女がデザインしたインドのある都市の工事の着工が凍結してしまったということだが、近い将来「Google Earth でみられるようになりました」という KN 氏からの報告があることを楽しみにしたい。



