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Archive for the Category "Physics"

市場への自然科学的アプローチ 8月 02

ニューヨーク・タイムズで市場に対して自然科学的なアプローチをとる手法が紹介されていました。

A Richter Scale for Markets
http://www.nytimes.com/2010/08/01/weekinreview/01dash.html?_r=1

日本でも「経済物理学」と称される学問ですが、非常に興味深いです。自然科学の本質を、過去に起きた事象から帰納的にある法則や定理を導き出し、それを演繹的に未来に起きうる事象に当てはめ、未来に起きることを予想する、ととらえると、まさにここで述べられている手法は、これまでの市場の動きをモデル化して、未来の市場の動きを予想しようという点において、きわめて自然科学的なやり方だといえます。

以前実は「経済物理学の発見 (光文社新書)を読んで、ちっともわからないと思っていた経済学のことが実によくわかると思えたことがあります。今回のニューヨーク・タイムズの記事を機に、また読んでみたくなりました。

2012 11月 23

インデペンデンス・デイや、GODZILLA ゴジラでおなじみのローランド・エメリッヒの最新作、2012 を見てきた。端的にいえば、お金をかけた B 級映画をまた見てしまったという感想である。まだ見てない人で、これから見ようという人は以下の感想文を読まない方がいいかもしれない。



















とにかく最初からめちゃくちゃだった。物理学者役の人が、「初めてニュートリノが物理反応を見せた」と発言した瞬間に、「ああ!この映画もうだめだ」と思ってしまった。1998年に既に日本の神岡鉱山跡地にあるスーパーカミオカンデで、ニュートリノ振動という物理現象に関する観測結果が発表されているわけだが、この映画の制作者はそれを無視していることがこれでわかってしまう。しかも、太陽から発せられたニュートリノが引き金となり、地殻変動を起こし、さらには地球の極を入れ替えてしまうなどということは考えられない。実際に、既に日本国内で強度のニュートリノビームをつくり、スーパーカミオカンデに向けて放出し、ニュートリノ振動を見るという実験が行われており、解析が進められつつあり、次期実験も計画されている。その間に茨城県と岐阜県の間で地殻変動が起きたなどという話は全くない。こうした実験をことごとく無視して、物理学者役の人に冒頭のようなことを言わせるのは、子供の教育上非常によくないと思い、嫌な予感がした。

すると今度は、世界の危機に向けて、G8 の首脳が集まるというシーンが出てきた。残念ながらこれも時代が進んでしまって嘘くさくなってしまった。現在では、G7 とか、G8 とかの枠組みは終焉しており、今年9月からは、G20 の時代となっている。そもそも地球の危機を前もって知らせるのに、G8 などのような、限られた国の首脳を集めるということはあり得ず、もっとオープンに行われるか、もっと閉鎖的になされるかのどちらかだろう。ここでさらにこの映画の行く末が案じられてしまった。

サンタモニカや、ロサンゼルスダウンタウンなど、なじみぶかい町が崩壊していく CG は圧巻であり、これを映画館の大スクリーンで見れたのは非常によかった。ただ、この映画の見所はそれだけと言ってもいいというくらいで、脚本はそもそもの話の出だしがでたらめな上、主人公はこれでもかというくらいのピンチにことごとく助かり、最後はいかにもハリウッド映画らしいわざとらしいハッピーエンドになるという点で、お金がかかっている割には安っぽい映画に見えてしまった。まあ、最近はそういう安っぽさに突っ込みをいれるのも楽しみになってきているのではあるが。ただ、そういう突っ込みができず、信じてしまう純粋な心を持った子供には見せたくない映画である。

日本科学未来館 8月 26

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お台場にある日本科学未来館に行ってみた。前から興味があったのだが、今回の訪問の主目的は、「地球と宇宙の環境科学展~消えた生き物の謎と秘密~」という特別展で展示されている、復元されたネアンデルタール人である。

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このネアンデルタール人は、オランダで普段は死体から肉付けをして生前の姿を取り戻す仕事をしている双子の兄弟が、復元したものである。昨年の秋にアメリカでこの記事を読んで以来、実物が見たいと興味を持っていたのだが、日本で見られるとは思わなかった。

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普段は骨だけしか紹介されないネアンデルタール人だが、いざ肉付けされた写真をこうやってみて見ると、けっこうどこかであったことのあるような顔をして、親しみがわいてくる。化石と DNA 情報の両方から、復元を試みたということで、それなりに現実味はある。たとえば、白い肌と赤毛であることは、DNA 鑑定の結果からだそうだ。目の色をどうするか悩んで、兄弟は当初青にしたらしいが、青い目は人類において7000年前に発生したものらしいということで、急遽変更になったという。

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今回の特別展の目玉であるはずなのだが、恐竜や他の絶滅した生物に比べると、大変地味なひっそりとした展示になっていた。個人的にはもうちょっと目立つようにあつらえてもよかったのではないかと思った。

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ただ、やはり先カンブリア紀のアノマノカリスやティラノサウルスのほぼ実物大のロボットの展示は目立つし、子供たちもこれらを見て喜んでいる。特にティラノサウルスのロボットは迫力がある。そばで見ているとやはりロボットみたいなガクガクした動きにはなっているものの、顔が自分のところに近寄ってくると、それなりに怖い気分になった。

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もちろん、ロボットのように動いていなくても、大きな化石が静かに展示されているだけでも迫力がある。

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展示企画者が意図していたのかどうかはわからないが、モアとドードーが隣り合って展示されていたのには感動した。ドラえもんで「モアよドードーよ永遠に」を読んだことのある人なら、ピンとくるはずである。

マンガがらみで言うと、宇宙エレベーターや太陽光エネルギー発電の説明では、ガンダム00をつかって紹介されていた。

ナショナルジオグラフィックも絡んでいるので、各個人の祖先がどのような経路で現在地にたどり着いたかを教えてくれるジェノグラフィックプロジェクトに関しての展示もあった。このプロジェクトについての詳細はまた後日述べたいと思う。残念ながら、日本語での検査キットの配布が行われていないので、日本ではほとんど無名のプロジェクトだが、大変に面白いプロジェクトであるので、もっと広めてほしいと思う。著名人がテストした結果が展示されていたが、同じ日本人でもこれだけ違う結果が出るものかと、感心した。ある人のものは自分がやったときと同じような、中国の雲南地方出身を示すものだったし、別の人の結果は、彼女の祖先の多くがベーリング海を渡ってアメリカ大陸に進んでいったというものだった。

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常設展示では、子供たちが理科に興味を持ってもらえるような展示や案内が主体となっているが、大人でも楽しめる内容になっている。夏休みということで、家族連れが多い。しんかい2000や、H2 ロケットの模型、スーパーカミオカンデの模型や高エネルギー加速器研究機構 (KEK) での B 粒子実験など、最新の国家規模での研究や、調査の最新状況、および最新技術の展示がなされている。

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マーケティング的な見地からすれば、スーパーカミオカンデや、KEK での展示は、小柴氏や小林氏、益川氏のノーベル賞受賞につながった実験をもっと積極的にアピールした方が、集客効果が上がると思う。しかし一方で、彼らがノーベル賞を取ったのは他にも様々な研究成果や実験結果が積み重なった結果であり、特に何かの実験を際立たせて世間一般の人々にアピールするものでもなく、現状の展示の仕方で十分だという見方もとれる。

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ただ、子供たちに理科に対する興味と関心を高め、大人たちにももっと科学技術に対する積極的かつ肯定的な見方をひきつけるべきだという考えに立てば、ニュースなどの報道で話題になっていることをきっかけとして、お父さん、お母さん、および子供たちをひきつける要素がもっとあってもいいのではと思った(そういう意味では、宇宙エレベーターと太陽光発電のところでガンダム00が使われているのはいいアイディアだと思う)。

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帰りは、フジテレビ前の空き地にて、ススキとコスモスを見ながら、秋の気配を感じた。このあとでガンダムを見に行ったが、それはまた別のエントリーに欠くことにしよう。

時の流れがますます速く感じられる 4月 26

さっき起きたと思ったらもう寝る時間になってしまった。朝いろいろとやることを考えてみても、全部こなせなくてがっかりしてあきらめて寝てしまうことが多い。そこで、時間の使い方が下手なのかと反省してみるが、そのときに気づくのが時間の経ち方の速さである。

子供の頃は一日というのは非常に長かった。一生懸命夢中になって遊んで日が暮れてご飯を食べてお風呂に入ってというプロセスの一つ一つが非常に長く感じられた。同じことが今では一瞬の出来事のように感じられてしまう。

大学時代に、OB の先輩から「人の時間の感じ方は、年齢に反比例するものだと考えるとよい。すなわち、1歳の人の1時間は 1/1 となるが、20歳の人の1時間は 1/20 であり、80歳の人の1時間は、1/80 と考えるのが妥当だ」ということを教わった。今思うと本当にそれが真実みを帯びて感じられる。

物理学的には人間が若かろうと、年をとっていようと、地球の自転に単に乗っかっているだけなら、時間の経ち方は全くかわらない。その人が移動しているのなら、光速度に近ければ近いほどその人の時間が遅くなることが特殊相対性理論から導かれるし、重力の影響を受けていれば、やはり時間の経ち方が変わってくることが一般相対性理論からわかる。でも、人が一歳であろうが80歳であろうが、今の技術で時間の経ち方をコントロールできる手段は無いに等しい。

起こっている事象を解析できないので、結局時間の感じ方は主観的なものになってしまう。ひょっとすると、人の成長につれて、脳も成長し、それが感覚としての時間の経ち方を変えてしまうのかもしれない。そう考えると、成長に準じた時間の経ち方の速さに気づくのは人間だけなのかそれともほかの動物も気づくのだろうかと疑問を抱いてしまう。

とやっているうちに、あっという間に20分が経過してしまった。ということで今日は寝ることにしよう。

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ノーベル賞についての感想 10月 10

いろいろな記事やブログで今回のノーベル物理学賞についての見解が出ているが、下記の NB Online の記事は、自分の感覚とあっている気がした。

日本にノーベル賞が来た理由
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081009/173322/

ここでは伊東乾氏が、ニュートリノ振動をとらえた実験を指揮した戸塚洋二氏や、小林・益川両氏の恩師にあたる坂田昌一氏のことが触れられた上で、彼らがなくなった今、ノーベル財団が日本人にノーベル賞をあげざるを得なくなったようなことが書かれている。

実は自分も南部・小林・益川の三氏が受賞というニュースを知ったとき、戸塚氏のことを思い出した。大学院の研究室で、スーパーカミオカンデでの実験解析をしていた仲間が、彼の解析結果により、ニュートリノ振動が存在することを確認したと修士論文で書いたところ、担当教授から「こりゃ博士論文に相当する内容だなあ」と言われていた。その頃よく名前が挙がっていたのが戸塚先生である。

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ノーベル物理学賞 10月 07

毎年この時期になると、「今年あたりは」と思っていたものがついにやってきた。

<ノーベル物理学賞>益川教授ら日本人3氏に授与
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081007-00000087-mai-soci

小柴氏がノーベル賞をもらったとき以来、この三氏が受賞するのは時間の問題だと思っていたが、まさか同時に受賞とは思ってもみなかった。とくに南部氏はかなりの高齢なので、間に合ってよかったという気がする。素粒子物理を学べば、彼らの理論は当然のように学習するところであり、今ではそれだけ標準理論の基盤となっている理論になっている。三世代、6種類のクォークはすべて小林氏益川氏の予言通り1995年までに発見されており、それだけでも十分と思える確証ができていた。

ニューヨーク・タイムズの記事を見ると、別の解説が出ている。

2 Japanese, 1 American Share Nobel Physics Prize
http://www.nytimes.com/aponline/world/AP-EU-Sweden-Nobel-Physics-List.html?_r=1&partner=rssnyt&emc=rss&oref=slogin

こちらでは、日本人二人、アメリカ人一人となっているところが興味深い。この記事の中では、2001 年の高エネルギー研究所とスタンフォード大学での実験による、対称性の破れの実験について論じられているが、これは別な角度から各氏の理論を確証したといえる。

とても喜ばしいニュースである。

報道の怖さ 9月 11

ヨーロッパの CERN で、9月10日から、高エネルギー物理の実験が行われ始めたのは喜ばしい。

Protons and Champagne Mix as New Particle Collider Is Revved Up
http://www.nytimes.com/2008/09/11/science/11collider.html?scp=4&sq=LHC&st=cse

最初の陽子ビームが出力されて、ようやくエンジンがかかったということで、今後の実験成果が期待される。実際に7 TeV のエネルギーを持つ陽子と 7 TeV のエネルギーを持つ反陽子が衝突した後に現れる素粒子の反応をみる実験は、始まるまでにもう数ヶ月かかり、さらにその解析に何年も費やされることだろう。

こうした解析結果により、ビッグバン直後の宇宙の状態を再現し、現在の素粒子物理学を形作っている標準理論の妥当性をより確かなものにするような結果が出たとしても、反対に標準理論の予測と異なる結果が現れたとしても、どちらにしても非常に興味深い。

ただ、このような「何が起きるかわからない」という物理屋の言葉と、「ビッグバン」とか「ミニブラックホール」という言葉が勝手に報道関係者の間で結びついて、地球がこの実験によってできるブラックホールに飲み込まれるというような大げさな妄想があたかも現実的な話であるかのように語られるようになるのは怖い。こんな悲しい結果さえ、招いてしまう。

インドの少女、欧州での「ビッグバン実験」を恐れ自殺
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-33702120080911

このような非常に大きなエネルギーを持った粒子の反応時間は極めて短く、実験装置外で何らかの反応が起きるということはまずありえない。もっともあるとすれば、加速器のリング内をこうした高エネルギーの粒子がぐるぐるまわったり衝突したりすることによって、発生する放射性物質の散乱である。こうした施設で働く人々は、そのような放射性物質が反応すると知らせてくれるバッジをつけている。何かあれば、まずこの人たちに影響がでることになる。

いずれにせよ、これらのような報道で、最先端の科学実験が世の中に広まるのは喜ばしいことだが、上記のような将来のある少女にたいして気の毒な結果をもたらしてしまうことも怖い。

戸塚洋二氏 7月 10

戸塚洋二先生が亡くなったそうだ。大学院時代神岡実験をやっていた人々がよく口にしていた先生なので、個人的にも寂しく感じられる。彼の98年のニュートリノ質量の発表についても、M2 の97年当時、研究室でいろいろと解析結果が出ていたので、直接自分とは関係はないが、なんとなくつながりを感じる。

もうちょっと長く生きておられたら、ノーベル賞も取れたかもしれないと思うと大変気の毒になってくる。

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John A. Wheeler 4月 15

昨日のニューヨーク・タイムズで、物理屋さんの John Wheeler 氏がなくなったという記事があった。

John A. Wheeler, Physicist Who Coined the Term ‘Black Hole,’ Is Dead at 96
http://www.nytimes.com/2008/04/14/science/14wheeler.html?scp=1&sq=john+wheeler&st=nyt

数年前に Hans Bethe 氏がなくなったときも結構大きなニュースになったと記憶している。なにしろこうした人々は、マンハッタン計画に直接携わった人であり、かのアインシュタインをはじめとするそうそうたる物理学者たちと交流のあった人である。