イギリスの新聞、インデペンデント紙で、福島第一原発は津波が来る前の、地震発生直後から、避難する作業員がパイプのひび割れや壁の崩壊を見ており、この時点で放射能漏れが起きざるを得ない状況であったことを報じています。
The explosive truth behind Fukushima’s meltdown
http://www.independent.co.uk/news/world/asia/the-explosive-truth-behind-fukushimas-meltdown-2338819.html
さらに、震災直前までに既に何年にも渡って、こうしたパイプがもろく壊れやすくなっていたり、冷却装置に不備があったりしたことが指摘されていたにもかかわらず、東電その他の関係者たちがひた隠していたという事実も明らかにしています。福島第一原発はもともと冷却用パイプが壁や天井に縦横に張り巡らされており、しかもそのパイプの接続部分が設計図どおりに配管できずギャップができていたりして、それを無理矢理溶接するなどということが行われていたと言います。また、何十年も使っていれば経年劣化でひびが入ったり割れたりしてきますが、そういった時の対処も付け焼き刃でしっかりとした処置はなされなかったということです。従って、こうした事実を知っている担当者レベルからすれば今回の事故は地震がきた時点で起きるものだと当然のことながら予測されていたわけです。そのような中で枝野官房長官は「メルトダウンはない」と宣言していたわけで、いかに現場レベルとトップレベルの間で情報が徹底していなかったか、もしくはその間で情報がねじ曲げられていたかがわかります。
さすがに現場監督である吉田所長は3月12日の明け方には、こうした自体を見て、海水を注入にして冷却せざるを得ないと判断し、東電本社に問いかけたようですが、結果としてすぐには海水による冷却は行われず、水素爆発が起きてしまいました。
自分としては原子力発電の技術開発は続けていくべき、いやいかざるをえないと考えています。すなわち、既存のウランやプルトニウムによる発電と異なる、トリウムによる原子力発電や、核融合反応といった技術、既存の原子力発電所をもっと安全にかつ安心して稼働できるような技術的研究、さらには使用済み核燃料をどのように処理していくべきかの研究は、今後も続けていかざるを得ないと思います。日本のみならず、世界各地に何百という原子炉が存在する中で、日本の持つ技術力や研究開発能力はかなりの貢献ができるはずですし、日本が本来持っている安全管理・監視の体制や保守能力、品質改善能力ももっと発揮できるはずです。
しかしながら、上記のような「原子力村」と呼ばれる狭い閉じた世界で、都合のいい事実だけを発表し、見せたくない部分は隠そうとする体質を作ってしまった体制はすぐにでも解体してゼロベースで原子力に対する組織や運営を作り直すべきだとも考えます。すなわち、東電は倒産させ、原子力安全委員会は解散、さらには原子力政策を進めてきた自民党および民主党関係者や通産省や経済産業省の関係者も処分されるべきでしょう。またこうした政権、特に自民党に50年以上に渡って政権を渡し、思考放棄に陥り政官財の癒着を進め、原子力村を作り上げる体質を創り出してしまった国民も反省しなくてはならないと思います。そういった事故につながった背景となるところまでを根本的に解決していかないと、今後同様な事故が起きてしまうことは今のままでは十分にあり得ます。
国民が「原発は要らない」とか「原発反対」と叫ぶのはいいのですが、単純にそれでいいのだろうかと思ってしまいます。たとえ原発反対という意見が通って、今ある原発全てに稼働停止をせざるを得なくなったとしても、使用済み核燃料を冷やし続け、さらに冷やした汚染物質をどこかに半永久的に閉じ込めておくということをしなくてはなりません。また、ただでさえ円高や規制や硬直した雇用制度などで厳しかった企業環境が、原発停止により電力需要が安定しないとなるとますます悪くなり、製造業を中心とする産業が国外退去し、産業が空洞化する条件がますます整ってしまいます。そういったことを考えもしないままに、反射的に原発反対というのは身勝手とも思えてきます。
また、原発について賛成か反対かという二項対立的な見方を強いる報道の仕方も由々しき状況だと思います。上記のような事情を考えれば、単純な原発使用に関する賛成および反対の議論ができるとも思えないからです。
こういう時期だからこそ、現実的な回答として、政治家なり世の中のリーダーシップをとる人なりが、長期的視野と短期的視野を提示するべきだと思います。すなわち、
今回の震災を受けて、地震が多発する我が国において原子力発電は危険性がかなり高いことを目の当たりにした。そこで長期的には日本における原子力発電を縮小していく方針とする。短期的には現在ある原子力発電所を最大限安全に稼働できる体制を整え、長期的な使用済み核燃料処理が行えるよう配慮を整えるとともに、将来原子力発電に取って代わる発電能力に関する研究をただちに増進させることで原発に頼らずに安定した電力供給ができるよう取り組む。今回の事故につながった原因を徹底究明し、不備や不正を招いた関係者の処分を徹底する。
といったようなビジョンを打ち立ててほしいものですし、またそういった考えを持った人に政治を委ねたいものです。