「442日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍」を観てきました。真珠湾攻撃後にアメリカ在住日系人が強制収容所に入れられていた折に、ヨーロッパにおいて驚異的な戦歴を残したのが 442 大隊ですが、その部隊の活躍を、生き残った人々のインタビューや家族や周囲の人々の実際の話、さらには当時の写真や動画を使って描いたドキュメンタリー映画です。日系移民の子供として、アメリカで生まれ育った二世たちが、親から教わった「国のため、家族のため」という大和魂を持ちながら武士道を見事に実践し、アメリカ史上最も偉大な戦歴を残すまでの活躍ぶりを見せる様子を見ていくと、非常に励まされる思いがするとともに、その大和魂も武士道も日本からは消えてなくなりつつあるのは非常に情けなく、彼らに対して申し訳ない気がします。
こうした作品は、ぜひとも日本の教育の中でも積極的に取り入れられ、次世代に受け継がれていくべきだと思いました。
本作品は、ドキュメンタリー作品を長年手がけておられるすずきじゅんいち監督が指揮を執ったということで、ハリウッド映画にはない落ち着きと冷静さがうかがえました。歴史に名を残すこの部隊の活躍と、元兵士の皆さんの非常に真摯で丁寧な物腰が、厳しい環境を生き抜いた人々の口からしっかりとした力強い語り口で展開され、決して派手さはないものの語られる内容の重さからか、話しの一つ一つが力強く感じられました。
また、元兵士の皆さんがヨーロッパ各地を訪れたときの、地元の皆さんの歓迎ぶりにも心が揺さぶられました。特に地元の若者たちが当時の戦闘状態を再現して、軍服を着てテントを張ったり当時使っていた物品を並べたりしているシーンがありましたが、その姿からは本当に元兵士の皆さんに感謝する念が伝わってくるようで、とても感動しました。
そうした彼らの活躍を評して、トルーマン大統領の、彼らがファシズムと母国からの迫害という二つの戦いに買ったというコメントを残すシーンが収められていますが、まさにこの大隊の活躍ぶりと気概を物語っていると思います。
この映画で知った事実もいくつかありました。出張で何回か訪れたミュンヘン郊外の Dachau には収容所がかつてあり、現在ではその記念施設となっているわけですが、ここを解放したのが 442 の日系人部隊ということでした。また、硫黄島で戦った部隊の中には日系人もいて、日本軍が洞窟や洞穴に隠れて自害しようとしているところを、日本語を話して安心してもらって、救ったということもあったようです。さらに、当時は本当に多くの日本人、日系人がハワイに住んでいて、軍に招集された日系人の多くがハワイ出身だったということも初めて知りましたし、当初はハワイ出身とアメリカ本土出身の人々とが喧嘩していたが、ハワイ出身者たちが日系人の強制収容所を訪れたとたんにぴたりと喧嘩がやんだということも、本作品を通して知りました。当時の日系人の強制収容所での暮らしぶりは、学生時代に読んだFarewell to Manzanar With Connections (HRW Library)
でうかがい知ったのですが、映画ではその当時の人々の動揺やショックがありのままに描かれており、そのためかそこでの生活の苦労ぶりがひしひしと伝わってきました。ここからの日系人兵士たちが Dachau の強制収容所を開放したと言うのは本当に歴史の皮肉としか言いようがありません。
本作品に出てきた元陸軍兵氏の方々は、どなたも80代から90代ですが、未だにエネルギーに満ちあふれてお元気で、さすがに修羅場をくぐり抜けてきただけのことはあると思いました。映画のテーマ自体は重々しく、ともすれば気がめいってしまうような内容のはずなのが、インタビューに応じた元兵士の皆さんの謙遜して暖かな話しぶりと、前向きな明るさが全体としての映画を明るい雰囲気にしていた気がします。
横浜ニューテアトルで観ましたが、開演時間になると広告も携帯電話の電源を落とせという警告もなく、いきなりすぐに本編が始まり、本編が終わるとさっさと館内が明るくなるのもよかったです。本編と同じく、潔いと言うか、すっきりとしていて、なんで同じことが他の映画ではできないのだろうかと思いました。