実家の近所の人が原子力空母ジョージ・ワシントン のとある乗組員と友達だというつてで、昨日ジョージ・ワシントンに乗船する機会に恵まれました。なつかしいアメリカの空気を感じながら、今までの人生で最大の船に乗れ、かつ現役で活躍する世界最強ともいわれる第七艦隊に属する人々と戦闘機に間近で接するという大変貴重な体験をすることができました。
午前6時に横須賀基地に集合ということで、前の日から実家に泊まり込み、4時に起床して朝食後に車に乗り込み、5時45分頃に到着しました。要職を勤める人の友人ということで、VIP 待遇となり、基地に入った後、ジョージ・ワシントンからほど近いところに駐車することができました。
乗船後、空港と同様なバッグの検査と金属探知器による検査がありました。ただ、アメリカの空港ほど厳しくはなく、わざわざベルトや腕時計を外したり、靴を脱いだりすることまでは求められませんでした。チェック中にテーブルに並べられていたのは、Panasonic の Tough Book で、さすがにこういうところで活躍しているのだと思いました。セキュリティー・チェックの後、耳栓が配られていました。航空ショーの時にこれをするようにということでしたが、しないでみていたらどうなるかも試してみたいと好奇心に駆られました。
乗船した場所はハンガー・ベイと呼ばれる機体の格納場所で、おそらく小さめのサッカー場が3面くらいとれるのではないかと思うくらいの巨大な空間です。ここにパイプ椅子と舞台が並べられており、端の方にはトイレやキッズスペースも設置されています。
真正面には星条旗と日の丸がでかでかと掲げられていました。
ドーナツやクランチーバーやリンゴやオレンジなどの典型的なアメリカのパーティーに出てくる食事と、クリスタルガイザーやゲーターレードなどの水が無料で振る舞われる一方、ジョージ・ワシントンのオリジナルグッズが販売されており、T シャツや、帽子、ピンバッジやこけしなども売られていました。こんな貴重な機会を恵んでくれたことに対する感謝の気持ちも混めて、家族や自分用にこけしや T シャツなどを買いました。
パイプ椅子に座って待っていると、艦内利用に際する説明が英語と日本語の両方でありました。安全説明のビデオも流れていましたが、Windows ベースで動いているようでした。要は、はしごの上り下りに注意しろということと、迷子になりやすいので、今回のイベントを案内してくれた人 (スポンサー) にくっついていろというものでした。
説明後は自由に行動ができました。自分たちの場合、スポンサーはとても偉い人なので四六時中一緒にいることができません。そのため、勝手に行動せざるを得ませんでした。最初はハンガー・ベイにいましたが、途中で移動して館長のゲストルームに行き、ここで大半の時間を過ごしました。この部屋には日本とアメリカの友好を示すようなものがたくさん飾られています。
また、ジョージ・ワシントンという名前にちなんで、初代ジョージ・ワシントン大統領の絵や胸像、直筆の手紙、それに彼が存命中に植えられたと思われる木をベースに作ったジョージ・ワシントンの空母の模型も飾られていました。
ゲストブックも置いてあり、日本のそれなりの地位にあたる人たちが来ていることがうかがえます。
船は横須賀港を出た後、東京湾を南下し、房総半島の南に移動していきました。11時から航空ショーを行うということで、そのために太平洋上の何もないところに移動するのだそうです。それまでの間、デッキに出てみることにしました。
デッキ上がこれまただだっぴろく、さすがに333メートルの全長を誇るだけあり、端から端まで見渡すのが大変なくらいです。
F/A-18 ベイビー・ホーネット が一機、F/A-18F スーパー・ホーネット が三機が置いてあります。とくに監視している人もいるわけでもないので、近寄ってみて触ってみました。民間の航空機と違い、空気抵抗をなくすための特殊なリベットをつかっています。民間航空機であれば、胴体中央部には丸い頭のリベットが使われ、真っ平らなリベットはコックピット付近など真正面の空気抵抗をもろに受ける部分で飲み使われていますが、さすがにマッハを越える戦闘機となると、ボディー全体に渡って真っ平らなリベットが使われており、お金がかかっていることがこんなところからもうかがえます。
また、これだけ間近においてあると、ベイビー・ホーネットとスーパー・ホーネットの大きさの違いが一目瞭然でわかります。スーパー・ホーネットの方が大きく、素人目にもなんだか強そうに見えます。
他にも、E-2 ホークアイ や、SH-60F オーシャンホーク も搭載されており、マニアにとってはよだれが滴り落ちるような光景なのではないかと思いました。
東京湾を脱して、房総半島の南側に来ると、さすがに携帯電話の電波が入ったり入らなかったりするようになりました。Google Map で、少し広域の地図をだしておいて、圏外になった時もキャッシュされた地図データで現在地を把握できるようにしておきました。
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また、ハンガー・ベイから戦闘機を出し入れするエレベーターの実演も行われていました。さっきはハンガー・ベイからゲストルームまで行くのに狭いはしごを登らなければなりませんでしたが、これだとデッキとハンガー・ベイの間を瞬時に行き来できます。
やがて太平洋の何もないところまでくると、航空ショーの準備でデッキ上が慌ただしくなりました。そばにはミサイル駆逐艦ラッセン も近寄ってきていました。
まず、デッキ上をクルーが歩いて点検した後、カタパルトの動きをチェックしていました。その後まずはオーシャンホークが飛び立っていき、しばらくしてからホークアイも飛んでいきました。
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その後いよいよ三機のスーパー・ホーネットが飛んでいく様子が実演されました。各機、飛び立つ直前に尾翼をゆらゆらと揺らすのですね。
その後カタパルトの勢いを使って一気に飛んでいきます。100メートルほどで、離陸に必要な数百キロに達するのは本当に圧巻です。
しばらくすると、上空を飛んでいく二機の姿が見えました。
さらにしばらくすると、今度はタッチアンドゴーの実演です。普段厚木基地周辺でこれを夜中にやられるとえらく迷惑なのですが、こうやってショートして行われると感動すら覚えます。あの速さで降りてきて、ジョージ・ワシントンのデッキにタッチした後、すぐに離陸するという本当に高度な技です。民間航空機で飛んでいても、数百メートルのモノというのは上空から見ていると点みたいに見えるものですが、それに向って飛んでいき、一瞬タッチしてそれからまた飛んでいくというのは、神業といってもいいくらいなのではと思います。
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このタッチアンドゴーが行われる前に、油断して耳栓を外していました。2マイルくらい離れたところから、館内放送が流れて、ああ飛んでくるのかと思ってみていましたが、近づいてくるとあまりのうるささに耳を指で栓しなければと判断しました。そのくらいの凄まじい爆音です。
オーシャンホークの実演も行われました。
航空ショーの後、ミサイル駆逐艦ラッセンによる砲撃実演も行われました。砲撃の瞬間は、花火が打ち上がるみたいな音がしていました。
使った後のカタパルトはオイルでぬめぬめしていました。
デモが終わった後は昼ご飯です。こういうアメリカのイベントにありがちなサンドウィッチとチップ類とフルーツの盛り合わせです。アメリカに住んでいた頃を懐かしく感じながら食べました。
夕食後、うろうろしているとデッキ隣の部屋に行くことができました。ここで各機の配備状況をチェックしているということです。通常は60機が配備されていて、半分以上はバンカーに格納されていて、例のエレベーターでデッキに移動して飛び立つ準備をし、そのたびに実記に対応するコマをうごかしているのだそうです。修理はどこで行うのかと聞いてみたら、デッキ上でもバンカー内でも行うということでした。ちょっとした異常をパイロットが感じたら、デッキ上でチェックするし、日常茶飯事の鳥がぶつかったというようなことでもすぐに確認しているそうです。また、少し手を加えないと行けないような修理はバンカー内で行うということです。
午後の落ち着いた時間になると、寝出す人々もいましたが、せっかく全米でも1%の人しか乗ったことのない空母に乗れる機会はそう滅多にあるものではありません。ちっとも眠たくならないので、艦内をウロウロとしてみました。はしごは気をつけないと 186cm の自分でも頭をぶつけそうです。もっと背の高い友人の乗組員らはきっと苦労していることでしょう。デッキ上の至る所にヒトデみたいなものが据え付けられています。これでデッキ上の飛行機を結びつけておくようです。また、デッキ上は滑らないようなギザギザの表面で加工されています。
帰る航路上で落ち着いてから、管制室に行くことができました。ここからデッキ上の全ての様子を見下ろして把握できます。ここに招待してくれた方が勤務しているので、お礼に用意した本と、今回の機会をいただいたこと、こうやって我々を防衛してくれていること、そして震災時に助けてくれたことに対する感謝を書いたカードを渡しました。
それにしてもアメリカ海軍のオープンさには驚かされます。他の国の軍隊ですと、そもそもこういう家族や友人を招く機会というのもそんなにないですし、あったとしてもここまで公開することはないでしょう。とくに日本の場合、隠蔽体質は悪質とも思えるほどいろいろな組織にはびこっていて、政府関係や防衛関係はなおさらたちが悪いです。いろいろと賛否はありますが、ここまでオープンにしてくれるのであれば、やはりアメリカが世界の警察としての機能を果たす方がいろいろな意味で都合がいいと思いました。これがどこかの国が同規模の軍事力を持った場合には、何をしでかすかわかりません。
実際に、北朝鮮が何か怪しいことをやっている時も、このジョージ・ワシントンが黄海に向うとピタリと静かになります。たしかにどこかの政党がいっているように、こういった軍事費を他のことに使えばもっと福祉やら手当やらが充実するということはいえるかもしれません。しかしそうした党の党首がそういうことを訴えている時は、まわりにボディーガードがついているわけですから、やはり抑止力というものを考えなければならないということでしょう。
ということを考えると、このようなオープンなイベントというのはそれなりに意義のあることだと思いました。
下船後、帰り際に星条旗を降納するところに向って敬礼をして直立不動の姿をとる何名かの兵士の姿が見えました。艦内で下官が上官に向ってこのような直立不動で敬礼をする姿は見られなかったので、このときになって、ようやく軍隊らしい兵士の姿を見ることができたと思うと同時に、実はこれこそがアメリカの強さではないかと思いました。すなわち、自分が忠誠を抱く国家に対する絶対的な信頼と敬愛です。日本だと上官の命令に従うことが絶対視されがちで、本来の目的である国家が忘れられることもしばしばで、そのために組織ぐるみで私利私欲を追求する事態に発展することがよくありますが、アメリカだと、このように人よりも抽象概念である国家に対して、絶対的な服従と敬愛を示すところが、本質をとらえて真の目的を遂行することにつながるのではないかと思いました。