「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)
を読みました。日本に十数年住むイギリス人記者の著者が、日本についての彼なりの考察を記していて、日本人が読んでもなるほどと気づかなかったことが書かれています。
例えば1990年以降、日本は停滞していて「失われた10年」(最近は20年とも言われていますが) とよく言われていますが、著者のコリン・ジョイス氏はイギリス人らしく、この間に日本のサッカーとビールは格段に良くなっていると弁護してくれています。
また、彼の一番のお気に入りの日本語として、「おニュー」という言葉を挙げています。この言葉を知った時に声を出して笑い、その日一日考えを思いめぐらせたというくらいだそうです。英単語と日本語の丁寧語を組み合わせて、何か新しいものを使う時の束の間の幸福感を見事に表していると、記者ならではの着眼点と表現力でジョイス氏の感動を伝えてくれています。
また、新聞をきれいに折りたたんで読んでいる電車の中のサラリーマンについても触れていて、携帯性のためにイギリスの「タイムズ」紙が紙面を大判からタブロイド判に莫大なコストをかけて転換したエピソードを紹介し、もしイギリス人が日本人のように新聞を畳んで読めたら、そんなコストはかけなくて済んだろうにと嘆いています。
彼が到着後、発電機の音に悩まされたというのですが、よくよく確かめてみると、あれはセミの鳴き声だったというエピソードが書かれていますが、セミの鳴き声は発電機の音に聞こえるのかと思うと大変意外ですが、面白い比較だと思います。
日本語が簡単だという彼自身の見解も示しています。母音と子音の数が少ない点、イントネーションは平坦でよいという点において、発音は簡単であることをまず挙げています。また、文法に関しても、単数や複数の区別がないこと、性や格変化がないことや、不定冠詞や冠詞がないこと、さらには時勢もないことや、動詞の不規則変化も大したことがないという点で、学習における困難が少ないとしています。しかしこれは逆に言えば、我々が英語学習においていかに困難な道を歩まなければならないかを物語っているとも思いました。
その他、第一章の出だしに出てくるプールの話は、自分自身がアメリカから帰国間もないころに体験したことがそのまま書かれていたので、「おーそうだそうだ」と心の中で拍手喝采でした。
Twitter 全盛の時代にふさわしいトピックもあります。英語だと、35文字かかる次の表現
a picture of a cormorant’s stomach and tail
が、ローマ字では10文字で言えることに面白がっています。
u no i to o no e
ですが、漢字仮名交じりにすると、もっと字数が少なくて7文字で済みますね。
鵜の胃と尾の絵
英語と日本語の勉強にもなるうえ、自分たちが当たり前だと思っていた日本についての異なる見方にも触れることができ、暇つぶしに気楽に読める本です。