月曜日のニューヨーク・タイムズ一面トップに、アメリカの有人宇宙飛行が空白の時期を迎えるという記事があった。
One Way Up: U.S. Space Plan Relies on Russia
http://www.nytimes.com/2008/10/06/science/space/06gap.html?scp=1&sq=US%20space%20plan&st=cse
この記事では、2010年にスペースシャトルプログラムが終了すると、2015年に Constellation プログラムが開始するまで空白の時期ができてしまい、その間はロシアのソユーズ宇宙船に頼って、国際宇宙ステーションまでの往復を実現するしかないと書いてある。
実はアメリカの有人宇宙飛行がしばらくお休みになるのは今回が初めてではなく、アポロ計画が終わった後、スペースシャトルプログラムが始まるまでの6年間や、チャレンジャーやコロンビアが爆発した後の数年間は、まったく誰もアメリカから宇宙に飛んでいかなかった。
時期的に政治が絡んでいるのも興味深い。フロリダ州はスペースシャトル関連の企業や事業社が多いため、スペースシャトルが飛ばなくなると、何千人という人々の職が失われてしまうことになる。そのため、両候補ともシャトル計画の継続を主張しているが、先行きはまったくわからない。
子供の頃はガンダムやヤマトの影響からか、宇宙開発に非常に憧れて、スペースシャトルが初めて飛んだときは妙にうれしかった。だが、大人になるにつれてその夢が覚めていったのか、それとも冷戦終結により、宇宙開発予算が削られていったためかどちらかはわからないが、宇宙開発に対してそれほどわくわくした感情を抱かなくなってしまった。ただ、それでも心の片隅には今後ももっと積極的に宇宙開発を継続してほしいという気持ちはある。
だが、現実は厳しい。政治の世界では、宇宙開発にお金をかけるのなら、医療とか保険とか社会保障とか、もっと生活に根ざしたものにお金をかけるべきだという声が大きくなりがちで、そのあおりを受けて NASA の予算が以前のアポロ計画の頃に比べるとかなり厳しくなっている。そのためか、アメリカの宇宙開発が地味になり、またその一方で中国が急速に力をつけているのが大変気になる。
仕事の関係で、近くの NASA につとめる人たちと話す機会があったが、彼らによると世相が臆病になっているという。すなわち、アポロ計画の頃に比べてより確実に安全に人を月に送る技術は発達しているが、人々の間にそれを実現するコンセンサスと気力がなくなっているというのだ。その中の一人は、スペースシャトルは60年代の航空機の設計思想から作られたものであり、コクピットの後ろに配管がずらずらと並んでいるのは時代遅れで信じられないと言い、これにかわるものがしばらく現れないのを嘆いていた。一方、別のもう一人は、現実的な見方をしているようで、NASA が有人宇宙飛行から離れ、なるべく人を送らずに宇宙開発をする方向へと向かっているといっていた。
中国が宇宙開発に積極的になるにつれて、アメリカも意地を張って、積極的になってくれればとも思うのだが、事態はそう甘くはないようだ。今日のニューヨーク・タイムズでは、NASA がロシアに宇宙開発の助けを求めるのを可能なように Obama 氏が活躍したことに対して、NASA が氏に感謝しているという記事が報じられていた。
Obama Gets a Thank You from NASA
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2008/10/07/obama-gets-a-thank-you-from-nasa/?scp=2&sq=NASA&st=cse
アメリカ議会では、シリアやイランや北朝鮮を支援するロシアに対して、連邦政府の予算を使わせないようにする法案を可決しようとしていたが、そうするとロシアにおんぶにだっこ状態にならざるを得ない NASA にとってははなはだ迷惑な話である。そこで、NASA に関しては例外措置をとるように Obama 氏が働きかけた結果、例外措置は認められたようだ。
こういう状態では、アメリカの宇宙開発の今後の見通しはあまりよくないといえそうだ。



