日本のメディアではよく「リーマンショック」なる言葉を目にしますが、どうも違和感を感じます。というのも、リーマンブラザーズが経営破綻したのが衝撃波として経済界に波及したかのような印象を与えてしまい、実際にそのような文脈でこの言葉が使われていることが多く感じられます。しかし、これは因果関係が誤った認識だと思います。
もともとはサブプライムの問題、すなわち低所得者が住宅を購入するために融資されたお金が、戻ってこなくなりそうだと言う信用不安が更なる不安を呼び、金融界全体としての信用収縮につながり、やがてその一貫として金融機関が破綻し、リーマンブラザーズもその流れに巻き込まれたという過程を経ていると思います。この過程をふまえれば、リーマンブラザーズの倒産はあくまで原因ではなく経済活動の結果としてとらえられるべきであり、因果関係としては、サブプライム問題こそが原因となるべきです。ですから、日本人が好きな「○○ショック」にのっとれば、「サブプライムショック」と言った方が適切だと思います。実際に日本人以外の人と話していると、リーマンブラザーズが原因となって不況になったと言う人は誰もいないと言うことがわかります。
まあ、「トヨタショック」とか「ソニーショック」とか、会社名+ショックという図式があるのだとすれば、金融破綻の一番の象徴といえるリーマンブラザーズを持ってきた方がよいと言うことになり、さらにはそれに乗じて、現在の景気の悪さもこのリーマンブラザーズの倒産が原因だと言うことにしてしまえば、話がはやいと言うこともあるのかもしれません。ただ、そうやってたどり着いた誤った認識に基づいて、対処法を考えれば、当然誤った結果にたどり着くわけで、問題の根本的な解決には至りそうもありません。
サブプライムの問題も、当事者の人たちはなんとなくやばいということを認識していたのでしょう。なので2008年当初の時点で、すでにちょっとした動機により、一気に株価が下がるような不安定な状態に達していたということが、たとえばこの記事を読むとわかります。当時読んだときは、「へーそうか」と思ったものですが、時間がたった今改めて読むと、実によく的を得た説明だと思います。
気がかりなのは、ちょうど2年たった今の時期も、当時と似ているのではないかということです。すなわち、2010年あたりから景気が回復しそうだと言われてきたのが、実はそうでもなさそうで、本当は状況はもっと悪く、せっかく回復してきた株価がいつまた下落するとも限らない、そんな状態に今なっているかもしれないという懸念がもたげてきます。



