昨日さんざんブルージュがいいと吹き込まれたので、今日はまずそこへいこうとかんがえた。例によって朝食をがむしゃらにつめこんで、ユースホステルを後にした。昨日と置ったRED LIGHT ZONE をもう一度通ると、まだ呼び込もうとしている人がいた。朝食のときに聞いたが、彼女たちの相場は6千円だそうである。タイと変わらないことを考えるとすごく安く感じられる。
ベルギーに向かう前に、風車を見たいと思い、往復切符を買おうとしたら、小銭があとわずか足りなかった。外は雪も降っていて、かつ風車は鉄道の車内からも見えるので、あきらめてそのままベルギーに向かうことにした。ちょうどよく9時40分発の電車があったので、何も考えずにのった。
この電車、アムステルダムからパリにいくそうである。そのせいかやたらとゴージャスに見える。2等の列車でも描なり上等に見える。まあ遠くまでいくからそうなのだろうとおもい、気軽にそこら辺の席に座った。しばらくすると乗客がぞろぞろと来て、その中の一人がそこは俺の席だという。しかたがないので隣の車両にいった。
しばらくして、オランダとベルギーの国境付近に来たとき、切符の点検に来た。ポケットを探ると、財布が無い。さてカバンに入れたかと思うと、この中にもない。これはさっき座っていた席で落としたに違いないと思ってとりに行こうとすると、二人の女の子が届けにきてくれた。 You found this between the sheets?ときくと、首を縦に振った。実にありがたいことである。きのう二人に財布をなくしたというはなしを聞いたばかりだけに、本当にありがたく思った。
さて車掌さんがもう一度来て、切符を見せると、この電車は特別料金がいるという。どうりで車内のつくりがちがっていて、乗客も親切な人がのっているわけだ。もうオランダのギルダーはつかってしまったので、ベルギーのフランでその料金を払った。まあさっきの財布が見つかったことを考えると、安いものである。この料金で財布が帰ってきたとおもえばよい。財布には岡ねと共和銀行、住友銀行のキャッシュカード、バッグの鍵、日本とカリフォルニアのそれぞれの免許証、国際学生証、フェルミラボの ID、ノースウエスト航空のワールドパークス会員カード、それにクレジットカードが入っていた。このうち再発行の難しいカリフォルニアの免許証とクレジットカードをパスポートいれに入れた。
ANTWERPでこの電車に別れを告げ、つぎのブルージュ行きの電車を待った。その間にせっかくベルギーに来たのだからと、ワッフルをたべてみたが、あまりおいしくなかった。もう一度どこかでチャレンジしようと考えた。
そのあと、ブルージュまで70分ほどでついた。荷物をコインロッカーに置き、町まであるいていった。この町の中心までの道のりがまた面白かった。石畳の狭い道路の両わきにレンガ作りの家々が並んでいる。それは本当に中世の普通の町はたぶんこんな感じだったのだろうなという思いにさせる。途中で聖堂によりながら、鐘の塔に向かった。
鐘の塔からは鐘をついた音楽が聞こえてくる。その音源に向かって階段を上っていったが、さすがに一気に上ることは難しい。階段の幅がだんだん狭くなり、足の疲れと相まって、上にいくほどのぼりずらくなる。ここでいきなりモンスターが現れたらそれこそドラゴンクエストのようだとかんがえながら、それでも一気に上りあがった。やはり苦労して上っただけあって、見晴らしはすごくいい。赤い屋根の家々があたり一面にみえる。先ほど訪れた聖堂やほかの教会も見える。そばでは鐘がガンガンなっている。風が強く吹き荒れていて、結構寒い。これを作り揚げた人々はすごいものである。そう思いながら階段を降りていった。しばらく降りると、上からすごい勢いで降りてくる音が聞こえてくる。何だろうと思って止まって道を開けると、さっき鐘の音楽を奏でていたひげのおじさんである。さすがにリズムよくすたすたと降りていった。
下り終わった後、聖マリア教会に行く途中でFRITUUR MARCというコーヒーショップで休憩した。ここでコーヒーとワッフルと、アイスクリームのバニラとストロベリーを食べたが、アイスクリームが今まで生涯食べたものの中で、一番おいしかった。まずクリームの粘着性が何ともいえない。水飴のようにとろける感じで、舌に載せたときのとけ方が素晴らしい。バニラは玉子とバターの風味とクリームのやわらかさが程よくミックスされて、舌にのせると甘さがじわーっとひろがっていく。ストロベリーのほうもこの甘さにいちごの風味がうまく加わり、実に絶妙な味わいを醸しだしている。次にワッフルだが、これもまた程よい甘さが心地好い。バターの風味が口の中に広がり、かむとちょうどいい歯応えでかみ切れる。そしてまた柔らかな甘みが広まっていく。上にまぶしている、よくヨーグルトについて来る砂糖がまたいい具合にアクセントを与えている。実に素晴らしい。ついてきたチョコレートは少し甘すぎた。
教会に行く途中で美術館がある。そこによってしばし絵画鑑賞をした。すばらしいのは、このブルージュで活躍した画家達の作品ばかりを集めて、展示してある点である。
その後はいよいよパリへ出発である。まずベルギーのローカルな鉄道で LILLEまでいった。そのあとでフランスの鉄道でパリに向かう分けである。 LILLEで両替をして、一番安いチケットをくれと頼むと、なんと TGVのものだった。8:01に出発して、9:02にパリにつくという。 TGVは黄色いものとばかり思っていたが、これは灰色を基調にした色だった。ホームには別れを惜しむカップルが何組も見られた。車内外とも洗練されている。新幹線と違って、広告が一切無い。揺れは始めは感じられず、新幹線よりもいいかと思ったが、高速運転になるにつれて、左右に激しく揺れ出した。この揺れは新幹線よりもずっとはげしい。出発してから10分ほどしてからこの揺れがピークになったあと、しばらく小康状態が続いている。音がうるさいと感じるのは気のせいだろうか。窓から過ぎ去っていく光をみていると、たしかに速いが、新幹線との違いはあまり感じられない。ただ単にくらいからだけなのかもしれない。おそらく周りは田園地帯なのだろう。ひょっとすると音がうるさいのも、日本に比べて騒音対策という問題が生じないからかも知れない。
周囲には出張帰りと思われるビジネスマンがおおくすわっている。スーツの着こなし方が実にかっこいい。というよりもこういう人たちのためにこういうスーツというものは作られていると考えたほうがいいだろう。さっそくモバイルギアをとりだし、DISCMANで音楽を聞きながらこれをうちはじめると、彼らが興味深く見ている。ちょっと優越感にひたれるひとときである。
パリのNORD駅について、地下鉄にのろうとした。自動発券機にコイン7フラン分を入れてあと1フラン足りないので、やっぱりやめようとしたら、入れたお金は二度とかえってこないらしい。大変不便な自動発券機である。画面はタッチパネル方式で、色々な種類の切符がかえるらしいが、扱えるお金はコインだけで、しかもいれたらもどってこない。クレジットカードが使えるらしいので、入れようとしたら入らない。そこで下にあったもう片方のすりっとにいれたら最初はすんなりはいった。しかしそのあとが入り込まない。しばらく置いておくとそのまま食べてくれるのかと思ったら、そうでもないらしい。そして差し抜こうとしたら、抜けない。手でひっかけようとするが、やればやるほど中に入る。しょうがないのでカバンから耳かきをとりだし、ほじくることにしたが、それでもはいらない。一人の英語をしゃべれる女性が現れ、そこはクレジットカードを入れるところではないと教えてくれたが、もう遅いのである。彼女が改札の内側に誰か職員がいたら、助けるようにいってあげるといってくれた。ありがたいことである。しばらく奮闘してると、4、5人の若者のグループが現れ、何をしてるのかとフランス語で尋ねてきた。何をいっているのか皆目見当もつかない。しかしとりあえず英語で事情を説明すると、つたない英語でその中の一人がそこはクレジットカードを入れるところじゃないという。そんなことはわかっているのである。しばらくそういう会話をしていると、制服を着た職員が現れ、外側のカバーを開けてくれて、カードをとってくれた。結局この機械ではクレジットカードで買うことはできないので違うのでやれといわれた。そこでちがうのでやろうとするが、やはりできない。むかついたので、あるいて目的とするホステルまでいくことにした。地図で現在地と目的地を確かめた。およそ1.7mくらいである。これなら歩けると思い、思い荷物をかたに背負ったまま歩くことにした。
表にでてみるが、エッフェル塔らしきものが見えない。あれが見えれば方角が分かるのだが、これではどこが北でどこが南だか皆目見当がつかない。とりあえずいまの位置を確かめて、しばらく歩いてみた。その後もう一度今の位置を標識で確かめ、地図を広げると、どうもまともな方向に歩いているらしい。周りにちらほらホテルが見え、そばをタクシーが通り過ぎるが、全て高いのでそういうものには極力見ないようにする。
往来の人通りがずいぶん少ない。店もどこも皆しまっている。エッフェル塔はまだ見えない。パリというのはつまらん町だと思いながら、通りすがりの人たちの顔を見ていく。確かに皆、男も女も少女マンガにでてきそうな顔をした連中がたくさんいる。東アジア各国の少女マンガのコンプレックスの発端はここかと改めて思った。
たいした距離ではないと思ったが、なんだかんだと、一時間くらいかけてユースホステルのあるあたりについた。さすがにこの距離を思いにもつを背負ってあるくのはつらい。いいかげん肩が痛くなり、足もだるくなってきた。はやく荷物をおろして寝たい。しかし目的のホステルにいってみると、かたくしまっている。これはまいった。さすがに気が滅入ってしまった。近くに公園を見つけ、しばらくぼーっとやすんだ。さあどうしよう。確かこの辺りにはあと2件ホステルがたまっているはずだから、どれか一つくらい空きはあるだろう。そうおもい、ほかのところを尋ねてみることにした。
別のホステルの前に行くと、ひげをはやしたおじさんが凛として何かをよんでいる。なんかおっかなそうな顔をしている。とりあえず呼び鈴を押して入る。空きはあるかときくと、ないといわれた。電話をして確認したあと、別の一件があと一つ空きのベッドをもっているという。そのあとでおまえはAMERICANか、CHINESEか、それともJAPANESEかとたずねられ、日本人だというと、芥川龍之介や三島幸夫、川端靖成などの文学作品が好きなのだという。
さっそくいわれたホステルに行った。何やら古い教会の真横にある。400年前までこの場所は教会用の宿舎に使われていたらしいい。何とか落ち着くことができ、寝ることができた。



