6時ごろに眼が覚めた。その後1時間ほどベッドの中で寝ようとがんばるが、眠れない。鼻の奥の痛みはなくなっている。そのかわり、鼻がつまっている。ちょっと体もだるい。しかし熱があるわけではないようである。シャワーを浴び、身支度を整え、朝食をとりに階下へ降りる。朝食をとる前に今晩も泊まるためにチェックインの手続きをした。昨日部屋が一緒だった彼によると、いま、KOLN MESSEで材料工学か何かの集まりがあり、ほとんどのホテルがうまっているという。ドイツに十何年かすんでいる彼がようやく見つけたもっともやすい宿がこのホステルというのだから、ここに泊まらざるを得ないだろう。
この朝食が実に素晴らしかった。さまざまなコーンフレーク、多種類のジャム、ヨーグルト、パン、ハム、チーズ、ゆで玉子、そしてコーヒーと紅茶がとり放題である。とりあえず栄養をつけるためにも、また、昼飯代をできるだけ浮かすためにも食べられるだけ食べた。ここのホステルに泊まってよかったと心のそこから思った。
その後地下鉄でケルンの町の中心に向かった。まずINFORMATION にいき、地図を手に入れ、インターネットカフェがあるかどうかたずねた。あるにはあるが、今日は休みだという。とりあえず場所を教えてもらい、つぎに聖堂に向かった。
改めてその聖堂のでかさにおどろいた。高さが115mあるそうで、壁一面に、彫刻が施されている。第二次世界対戦で町のほとんど全ての遺跡や建物が壊されたのだが、奇跡的にここだけは戦火を免れたそうである。中に入ると、日曜日ということもあって、厳粛な雰囲気の元にお祈りが行われていた。
その後、ローマ時代からあるという壁を見に行く。ところがそこら辺と思われる場所にいってもなかなかその壁がみあたらない。地図を見ながらよくよくまわりをみると、さっき薄汚い壁だとおもいながら通り過ぎた壁がそれらのようである。これらの壁はあまりにもあたりまえのように町の中に入り込んでいて、それが2千年の時を隔てて存在してきた壁とはおもえない。それこそ何十年か前に立てられたといっても不思議ではない。いちおう記念碑のようなものは見えるが、ほかにそれが重要なものであるかを示すものとか、特別な施しは何もなされていない。まわりにも、住民の姿が見られるだけで、観光客は自分一人である。記念に写真をとって、町の中心に戻ることにした。
町の中心は人どりは結構あるのだが、何となくひっそりしている。よくみると、ほとんど全ての商店がしまっている。日曜日にはドイツの店はみんな閉まってしまうというのを聞いたことがあるが、どうもそれは本当のようである。飲食店と蚤市みたいな店しか開いていない。しかし人通りが結構多いのはなぜだろうか。よくみると、犬をつれて歩く人がたくさんいる。地下鉄の中でも店の中でも平気で連れて歩いている。その犬達もよくしつけられていて、決して人に向かって吠えたりしない。ちゃんと行儀よくふるまっている。ドイツ人は子供よりも飼い犬を厳しくしつけるという話を聞いたことがるが、犬に関しては本当のようである。
あるきつかれたので、Breite StrasseのCafe Cremerというしゃれたコーヒーハウスでコーヒーを一杯注文した。 MILCH KOFFEEを飲んだが、イギリスで注文したCOFFEE LATTEによくにている。店内には若者の姿は見られず、中年以上の人たちが多く見られる。大きなケーキをほおばりながら、会話を楽しんでいる。皆があまりにもおいしそうにケーキを食べているので、自分もためしてみることにする。近くにいた店員に”Could you bring me a menu please?”ときいたが、困った顔をしている。その店員が別の店員とうちにmenuは置いてあるかというような会話をしたあとで、 “NO, we don’t have it. We only have those.”といって、ケーキの並んでいるショーケースを差した。さっき店に入ったときにもってきてくれたあのカードをもってきてくれればいいのだが、それを英語でいったとしても通じない。シャープの電子手帳にこういうときにドイツ語でなんといえばいいかを教えてくれる機能があるが、こんなときに限って電池がなくなって使えない。ドイツだから、おそらくこういう電子手帳のためのボタン電池も店に行けば置いてあるのだろうが、日曜なのでしまっている。しょうがないので自分でケーキを選びに行き、イチゴがたっぷりのったものを注文し、コーヒーをもう一杯注文した。
このケーキがまた非常にうまい。いちごがまずおいしい。いちごはビタミンが豊富で、いまの自分のこういった状態のときにはうってつけであるが、栄養分がたっぷりつまってそうなおいしさである。そのいちごがゼリーとからんでパイ生地のようなものの上に乗っている。周りにはアーモンドがまぶしてあり、その一切れの横に生クリームが添えてある。そのクリームにいちごをつけて食べると実にうまい。生クリームのほどよい甘さが心地いい。アメリカでこういうものを食べるとめっちゃくちゃに甘いのだが、こちらのは程よい甘さである。なるほど、アメリカ人のあのデブの多さはこの甘さの違いに由来するのかもしれない。実際にこちらの人たちはみんなおおきなケーキの一切れをおいしそうにほおばっているが、太った人はそんなにいない。町中でもデブな人はめったに見られず、みんなスタイルがいい。というわけで、生クリームの最後の残りまであじわうことができた。
店をでた後歩いていると雨が激しく降ってきた。どこかで雨宿りしたい。聖堂の近くにたどりつくと、ローマ時代の遺産を残した博物館があるのを見つけて入った。もっていたカバンを預けなくてはならないらしい。しかしみんなコートも預けている。とりあえず貴重品はコートのポケットの中に入れてもちあるきたい。よこにやはり同じようなことを考えているらしい女の子が英語でそれができるかどうかを自分に聞いてきた。そばにいた働いている人に聞いても英語が通じないようである。身ぶり手振りでやり取りするとどうやらカバンだけを預けるのは大丈夫らしい。預けた後で、電池がないが何とか表示できるというような状態の電子手帳でこういう場合を何というか調べてみた。 Konnen Sie nur dieser Tasche aufbewahren? らしいが、定かではない。
中の展示物はまさに地元でとれたものである。大英博物館にもこのような展示物はあったがこちらはまさに地元にあったものを展示しているという点で、より本物臭い気がしてくる。しかし展示品の説明は全てドイツ語で書かれているのでなんのことだかさっぱりわからない。ローマ時代の彫刻や食器、装飾品、当時の町並みの再現の模型、壁や床のモザイクが展示してある。かなり精巧に彫られた彫刻がこの地で2千年近くも前に彫られているのが印象的である。
その後外へ出るとやはり雨が強い。ライン川沿いをしばらく歩き、適当なパブに入った。ビールが4種類あり、 Ganser kolsch, Kostrisser, Kilkenny, bitburgerとある。手始めにGanser Kolschをのんでみる。さらりとしていて、どこか Heinekenににたあじわいである。これが細長いグラスに200mlほどいれられてでてきた。少ないと思うが、すぐによいが回ってきた。アルコール度は高いようである。ラジオがなっていて、MS-DOSやら BILL GATESやらE-MAILという声が聞こえてくるが、なんのことだかさっぱりわからない。ドイツ語でWWWを発音する声が聞こえる。URLをいっているようである。かかっている曲は懐かしいものばかりである。店内を見回すと、イギリスのパブよりもシンプルである。ビールとカクテル用の酒がおいてあるくらいである。しかしいやというほどkostrisserのコースターが置いてある。これにはsind 1543とかいてある。興味深いのでこれものんでみることにする。今度はワイングラスみたいなグラスに店員が泡が収まるのを確かめながら200mlほど注いでいく。この黒ビールはさきほどのGanser Kolschよりもさらに軽い。苦みもそれほどない。しかしこれもアルコール度はつよそうである。のみやすいからとがぶがぶ飲むとあっという間に寝てしまいそうだ。というわけでビールを飲むのはこれくらいにして、雨がやむのを待って出かけることにする。
そのままユースホステルにかえってきて、部屋に戻るとカーテンが開いている。そこから見えるライン川の景色が実に美しい。しばらく川べりを散歩してみることにした。ライン川のゆっくりした流れとともに、時間もゆっくりと流れていくような気にさせられる。この川に沿って、二千年以上もさまざまなドラマが繰り広げられてきたわけである。南のほうを見やるとさっき行った大聖堂が見える。かわにはひらべったい船がゆっくりと両方向に走っていく。川岸には犬をつれて散歩している人が結構たくさんいた。日本の典型的な川にありがちな、コンクリートむき出しの土手と違い、ここは一面が緑におおわれている。本当に美しい。日本にもこういう美しい景色があったはずだが、いつからそれがコンクリートだらけで、汚水が流れる醜い姿になり果てたのだろうか。
しばらく散歩した後、帰って少し寝ることにした。いい加減疲れがピークに達しているらしい。8時前まで2時間ほど寝た。おきてからGROUND FLOOR(ドイツでも地上階を1階とは呼ばないらしい)にいき、夕食のピザを食べることを考える。さっきフロントデスクでいわれた場所に行くと、ブンデスリーガの試合が放映されている。眼鏡をかけてみていたので、どこのチームか確かめることはできなかった。青いチームと白いチームがやっていた。注文をしている途中で青いチームが点をとり、ゴールシーンを見損なった。さてこの試合であるが、中盤でのプレッシャーがやはりものすごい。ボールをもつやいなやすぐに一人か二人体を寄せてくる。そこで各選手は2タッチか3タッチでボールをはなさなければならない。そのボールコントロールがまた正確であり、パスのボールもJリーグのシュートくらいに速くて重い。それをまた受けた選手が正確にコントロールする。実にハイレベルな試合である。日本のJリーグのチームでは歯が立たないだろう。代表チームでもまともな勝負にならないだろう。それくらいハイレベルである。そういう試合を90分間続けるのだからまったくすごいことである。エキサイトした選手が何人か出て、イエローカードが3枚くらい、レッドカードが1枚でた。結局試合は青チームがそのまま逃げ切った。
試合を見ながら飲んだBITBURGERのよいがまわってきて、そのまま自分の部屋に戻るとすぐに寝てしまった。



