Subscribe RSS

アルディがもたらす人類の祖先をめぐる新たな展開 10月 11

今月初め、日本のメディアでも報道された、440万年前の人類の祖先に関する研究結果について、TIME が詳しく特集を組んでいたので読んでみた。

Ardi Is a New Piece for the Evolution Puzzle
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,1927200,00.html

アルディピテクス・ラミダス (Ardipitecus ramidus) と名付けられたこの化石は、40年ほど前にビートルズの Lucy in the Sky がかかっている中で見つかったルーシーの化石よりも120万年古い。略されて「アルディ」と名付けられたこの化石において、とりわけすばらしいのは、生物学上必要とされる頭蓋骨、歯、骨盤、腕と脚、そして手足と、全ての部位がそろっていることで、発掘に参加していたカリフォルニア大学バークレー校の Tim White 氏の生の声によれば、

“To understand the biology, the parts you really want are the skull and teeth, the pelvis, the limbs and the hands and the feet. And we have all of them.”

ということで、彼の興奮ぶりが伝わってくるようである。これらの骨は、他の植物や動物などの15万点にも登る化石とともに発掘され、かつてないほどの情報量がもたらされている。10月2日付けのサイエンス誌では、1994年から15年に渡ってエチオピアで発掘された出土品と調査結果を、10カ国から参加した47人による11の論文でまとめている。

歯を見ると、彼らは雑食性だったようである。また、男性(オス?)の犬歯は、ゴリラやチンパンジーのそれと比べて鈍く、仲間同士で女性(メス?)をめぐって争ったようではなさそうだ。

この犬歯をもって、アルディたちが二足歩行をしていたのではないかという研究者もいる。すなわち、彼らは争うよりも社会的な行動をすることを好み、子育てや食探しのために二足歩行を始めたとする説である。

二足歩行の証拠は、骨盤と脚と足の骨に見られるが、同時に枝をつかみやすいような柔軟性を持つ手と、指が対峙して枝をつかみやすくなっている足を見ると、彼らが木の枝を上り下りしていた証拠もあり、アルディが完全に草原地帯に住んでいたというわけではないらしい。以前ならば人類の祖先は森から草原地帯へと住処を変え、そこで食べ物を得やすく、敵から逃れやすくなるように二足歩行が発達したという考えが定説だった。しかし、アルディが森の中で住んでいたということになると、むしろ違う考え方をとらざるを得ず、二足歩行により、子育てと食べ物の運搬がしやすくなったと考える方がよいとする研究者もいる。この辺りの見解は、古生物学者の間でも分かれているようだ。

ダーウィンの進化論からすれば、アルディは猿から人への進化のちょうど中間に属するぴったりの存在となるらしい。ゴリラやチンパンジーは、手も足も同様に木の枝を巧みにつかめるような柔軟性がある一方、足に土踏まずがないために、二足歩行をしようとすると、左右によろめいてしまう。アルディの場合は、チンパンジーよりもよりものを巧みにつかめる手をもつ一方で、下半身はチンパンジーよりもより二足歩行に適した構造になっている。しかし、ルーシーなどのアウストラロピテクスや人間のような土踏まずはまだ発達しておらず、アルディたちも左右によろめきながら二足歩行していたらしい。

asahi.com には、アルディの復元図が出ているが、サルトも人とも言えぬマンガみたいな姿をしている。というか、むしろ猿と人との中間を目指してあえてそのように描いたと見えなくもない。しかし、自分たちが子供の頃のネアンデルタール人がこれと大差ないように描かれていたのに対して、最近の最新の研究成果をもとにした復元模型はだいぶ生物としての息吹が感じられるようになってきていることを考えると、近い将来研究が進むにつれて、より説得力のある復元ができるようになるだろう。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.
Leave a Reply

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>