杉浦日向子氏の「お江戸でござる (新潮文庫)」をデトロイト出張のための飛行機の機中で一気に読んでしまった。この本、あたかも杉浦氏が江戸の町を観光案内しているかのように生き生きと描写しているので、大変おもしろい。
17世紀の時点で、パリやロンドンをしのぐ100万人以上を抱える市に膨れ上がっていたにも関わらず、水道が整い、リサイクルシステムが完全に整い、士農工商の区別は実はそれほどなく、みなしごや体の弱い老人を町で支えあうシステムが整い、識字率は7割ほどに達し、春夏秋冬それぞれの季節に応じた文化的な活動を人々が楽しんでいたというのだから、現代の我々も学ぶところが大変多い。
リサイクルシステムは、徹底しており、和紙を何度でも使い回す、本は大切に扱い、100年以上持たせる、ろうそくの蝋は、皿に落ちた分もすくいとって再利用する、髪の毛をとかしたり、風呂に入ったりしたあとに出た髪の毛は、かつらやつけ毛などに使う、割れた茶碗や皿は、白玉粉で接着して、はんだづけのように熱して固めて再利用する、炭などを燃やして出た灰は肥料にしたり、酒をつくるときに利用したり、漢方薬に利用したり、藍染に使ったりする、傘は紙と骨をとことん使い回す、などなど、何も捨てるところがないくらいの徹底ぶりである。
考えてみれば、日本人でない人々が経営している怪しいアメリカの日本食レストランでも寿司、天ぷら、そばなどはおいてあるが、これらは江戸時代の江戸発のものである。
今後は、食べ物に限らず江戸の人々の生き方、考え方、哲学、思想なども世界に広めていく必要があるのではないだろうか。



